大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1505号 判決

被告人

山本芳雄

主文

原判決を破棄する。

本件を木本簡易裁判所に差し戻す。

理由

然るところ刑事訴訟規則第二百九條に依れば、右の如く檢察官から訴因又は罰條の変更に関する書面が差し出された場合には、裁判所は檢察官から該書面の謄本を受取り、直ちに之を被告人に送達しなければならず、又檢察官は該送達が爲された後、遅滯なく公判期日に於て、右書面を朗読しなければならぬのである。今之を本件に付いて観ると、原裁判所が原審檢察官から前記のように訴因罰條の変更請求書が差し出される及び、即日之が謄本を被告人に送達したことは、本件記録添附の昭和二十四年十月三日附送達報告書の記載により之を認め得るけれども、右謄本が被告人に送達された後の原審公判期日に於て、檢察官が右の訴因罰條の変更請求書を朗読した事跡は、原審各公判調書を通じても、之を認め得ないが故に、此の点に於て、原裁判所の爲した訴訟手続には、法令の違反があるものと謂わなければならぬ。而して該違反は公訴事実に対する訴因の特定、延いては之が審理判断に影響するものであることは多言を俟たないところであり、從つて右の違反は判決に影響を及ぼすことが明らかなものと断じなければならぬ。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例